第 2 回: PRC-Tools のセットアップ (1) -- Cygwin の導入

Cygwin って何ですか?

前回の講座で触れたように、Windows プラットフォームでは PRC-Tools のために、「UNIX 的な環境」を用意しなければなりません。Cygwin とはまさにこの「Windows 上で UNIX 的な環境を実現する」ためのツールのセットです。

ちなみに「UNIX 的」という言葉を使うなら本当は「何が UNIX で、何が UNIX 的で、何がそうでないのか」というような話をするべきなのかもしれませんが、とりあえずその辺りはそういうもの、ということでご了承ください。;-)

Cygwin のセット自体にはアプリケーションに UNIX エミュレーションを提供する DLL と、それを利用して UNIX から移植された UNIX のコマンド・セットが含まれています。PRC-Tools もやはりこの DLL を利用して動作するツールの一つです。この DLL があるおかげで、PRC-Tools は何となく自分が UNIX の上で動いているようなつもりで動作することができるわけです。

Cygwin はどこで入手できるのですか?

Cygwin のセットは http://www.cygwin.com/ で配布されています。PRC-Tools についてもそうですが、「Palm の開発を始めよう」と思ってツールを探すと、古いパッケージに出くわすことがあります。これは後々、不要なトラブルの元になりますので、できるだけ、公式サイトから最新のものを入手して使うようにしましょう。もし既に古いバージョンが導入されている場合、然るべき手順で削除しておいた方が無難でしょう。

なお、ごくまれに、最新版にバグがあって困ったことになる、ということもあります。ちょっと前には Cygwin のインストーラにバグがあって PRC-Tools の導入に失敗する、というようなことも実際にありました。ので、「動作実績のある中での最新版」を使うのがベストではあります。;-) また、最新版のパッケージでどうしてもうまくいかない場合には、この手のトラブルを疑って、一つ前のバージョンで試してみる、というような手段も有効かもしれません。

とりあえず今後のために、ブックマークしておいた方がいいでしょう。そらで覚えられそうな URL ではありますが、一応。-> http://www.cygwin.com/

どうやってセットアップするのですか?

まず上記のサイトで配布されているセットアップ・プログラムをダウンロードしてください。トップ・ページにも何カ所か、黒いCをかたどったアイコンが見えると思いますが、それをクリックすれば入手できます。200 KB もない小さなファイルなのですぐにダウンロードも終わると思います。

なお、このセットアップ・プログラムは本当に「セットアップのためだけ」のプログラムで Cygwin の実体は含んでいません。Cygwin はこのセットアップ・プログラムを実行し、別途、実体のパッケージを指定することで構成されるようになっています。

さて、この Setup.exe によるセットアップはとりあえず下記四点にだけ気をつけていれば初心者の方でも問題ありません。

  • 基本はデフォルトのままインストール
  • Install Root Directory は今後のことを考えて D:\cygwin とする(特に D: ドライブでなくても容量が十分なら可)
  • [Default Text File Type]DOS にする
  • 分からないモノは全部導入する

分かる方はとりあえず、導入してしまっても構いません。何となく不安な方は次回、改めてそれぞれのステップを解説しますので、それまでお待ちください。;-)

さて、実行するとこんな画面が表示されると思います。

[次へ] を押して、実体のパッケージをどこから入手するかを指定します。とりあえず初回は、デフォルトで選択されている Install from Internet のままで、[次へ] を押してください。

次に、Cygwin のインストール・ルート・ディレクトリを指定します。ここが一番重要ですので、ここだけしっかり説明します。

インストール・ルートというのは、Cygwin のセットがインストールされる、根っこのディレクトリです。後々のために、C:\Program Files\ の下のどこか、とかではなく、もっと堂々とした場所を用意しておきましょう。とりあえず私は D:\cygwin というディレクトリを作っていますので、特にそれで問題がなければそれに合わせてもよいと思います。(ドライブ名は空き容量さえあればどこでも噛みません)

この画面では他に [Install For][Default Text File Type] の二項目を設定します。前者は個人が開発をする限りどちらでもあまり関係ありません。お使いの PC がマルチ・ユーザー環境で使われている場合などには状況に応じて決めてください。そうでなければ All Users でよいでしょう。

[Default Text File Type] はツールによっては問題になる部分です。とりあえず、「私にはこういう理由がある」という確固とした必然性がない限り、DOS にしてください。

以降、特に重要な項目はありません。Select Local Package Directory の画面ではパッケージをローカルのハードディスクに保存する時、どこのフォルダに保存するかを決めますが、これは容量さえ十分ならどこでも構いません。Select Your Internet Connection は、通常は Direct Connection で問題ないと思いますが、プロクシなどを経由する場合には他の選択肢を選びます。環境個別の問題ですし、本講座の主旨からやや外れますので詳細については省略します。;-)

次にどこのミラーサイトからダウンロードするかを選択しますが、これも基本的にどこでも構いません。速い遅いはありますし、時々、アクセスできないようなこともありますから、必要に応じていろいろ試してみてください。基本的には jp ドメインのサイトを選んでいれば問題ないはずです。



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