第8回 pilrc のオプション

前回から、かなり時間が経ってしまいましたが、今回は、PilRC のまとめとして、 pilrc のオプションを紹介します。今回説明するのは、第5回でインストールしましたバージョン 2.8 パッチ・リリース 5 です。

オプション
-L LANGUAGE 生成するリソースの言語を指定します。このオプションは TRANSLATION の定義と一緒に用います。 たとえば, 以下のような定義を定義ファイルに追加します。

TRANSLATION "JAPANESE"
BEGIN
  "Yes" = "はい"
  "No" = "いいえ"
  "Cancel" = "キャンセル"
END

この定義ファイルを

% pilrc -L JAPANESE ...

のようにオプションを指定して処理すると, "Yes", "No", などの文字列が "はい", "いいえ" のように置き換わります. TRANSLATION は, 対象となる文字列が現れる前に定義されなければなりませんので, 定義ファイルの最初の部分に置いておくのが良いでしょう.
-I <path> インクルード・ファイルやビットマップ・ファイルが格納されているディレクトリを指定します。-I オプションを複数用いることで、複数のディレクトリを指定できます。
-R <resfile> Palm 用のコードを生成するアセンブラ Pila や、Java のバイナリコードから Pila 用のアセンブリ言語を生成する Jump で使用するための定義ファイルを生成します。
-prc 生成したリソースを -R オプションで指定したファイルにリソース・データベースの形式で書き出します。このオプションは最新の PilRC では無くなっています。
-H <incfile>

定義ファイルに値が定義されていない ID があった場合に、自動的に値を割り付け、マクロ定義として指定されたインクルードファイルincfileに書き出します。これを使えばすべての ID を自動的に割り付けられますので便利です。しかし、この機能を使わずに、プログラム中で必要な ID の値は FORM ごとに番号をそろえるなどして、すべて自分で割り付けた方がデバッグはしやすくなります。

たとえば,

#define PrefsDialog             4000
#define PrefsNameField          4001
#define PrefsPasswordTrigger    4002
#define PrefsOKButton           4098
#define PrefsCancelButton       4099

#define PasswordDialog          5000
#define PasswordField           5001
#define PasswordOKButton        5098
#define PasswordCancelButton    5099

のように定義したヘッダファイルを用意し、これを用いてリソースの定義を行います。このようにすると 4000 番台のリソースはプリファレンスを設定するためのダイアログのリソースであり 5000 番台のリソースはパスワード入力用のダイアログのリソースであることが分かりやすくなります。

-D <macro> マクロの定義を指定します。
-F5 フォント幅の計算に中国語の Big5 コードを使用します。
-Fkt フォント幅の計算に韓国語の Hantip コードを使用します。
-Fkm フォント幅の計算に韓国語の Hanme コードを使用します。
-Fkg フォント幅の計算に中国語の GB コードを使用します。
-Fj フォント幅の計算に日本語の SJIS コードを使用します。
-Fh フォント幅の計算にヘブライ語のコードを使用します。
-rtl 右から左の順に文字を表示する機能を有効にします。
-q 表示するメッセージを少なくします。
-V エラーメッセージを Microsoft の VisualStudio 形式で表示します。
-allowEditID Edit メニューの ID (10000-10007) を使用できるようにします。フォームに Edit メニューを追加し、10000 から 10007 までの項目を追加した場合には、このオプションを指定しておかないと警告が表示されます。
-PalmRez 定義で省略されている値について PalmRez と同じ既定値を用いたリソースを生成します。
-LE32 Little Endian の 32 bit のリソースを生成します。

最新のバージョンでの変更点

現時点 (2003年8月) での最新の PilRC のバージョンは 2.9 です。このバージョンと 2.8 パッチ・リリース 5 との違いは以下の通りです。

-ro リソースを PRC の形式の一つのファイルに出力します。
-noEllipsis "..." の置き換えを行わないようにします。このオプションを用いることで、メニューで良く使われる "..." が日本語版 PalmOS で文字化けすることを防げます。
-Loc CODE LOCALE の設定が CODE と同じであるリソースのみを処理します。
-StripLoc LOCALE が設定されているリソースのみを処理します。
-o OUTPUT 出力先を指定します。

次回は...

(講座開始から時間が経って, すでに古くなってしまった) FreeBSD 4.5 を最新の FreeBSD 4-STABLE に, PRC-Tools を 2.0 から 2.2 にアップグレードする方法を紹介します.



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