第3回 開発環境の構築 (2) -- POSE

開発中のプログラムのテスト、デバッグには POSE (Palm OS Emulator) と呼ばれるエミュレータを使用するのが効率的です。http://www.palmos.com/ から Windows 用、MacOS 用の POSE を入手できますが、FreeBSD 上で開発を行なうのでしたら、FreeBSD 上で動作する POSE をインストールしておいた方が便利です。POSE も SDK と同様に ports を使ってインストールできます。ただし、現時点では ports を使った場合、インストールできる POSE は 3.1 です。最新の 3.4 を使用したい方は自力でコンパイルする必要があります。その方法は後々説明することにします。

また、POSE を使ってソースコードレベルのデバッグを行なうためには gdb が必要です。しかし、前回説明した手順でパッケージを使って PRC-Tools をインストールした場合、gdb はインストールされません。ここでは、ports に若干の変更を加えて gdb をインストールする方法を説明します。

POSE のインストール 準備

POSE をインストールするには、fltk と呼ばれるツールキットが必要です。最初にそれをインストールしておきましょう。

  1. 開発環境のインストールの時と同様に ftp サーバまたは CD-ROM (4枚目) から必要なファイルを入手します。
    • Mesa-3.4.2_2.tgz
    • fltk-1.0.10_1.tgz
  2. root になります。
  3. pkg_add を用いて、これらのパッケージをインストールします。
    # pkg_add Mesa-3.4.2_2.tgz
    # pkg_add fltk-1.0.10_1.tgz
POSE のインストール
  1. /usr/ports/palm/pose に移動し、make を実行します。
    # cd /usr/ports/palm/pose
    # make
    ソースコード emulator_src_31.tar.gz とスキン emulator_skins_16.tar.gzhttp://www.palmos.com/ から自動的にダウンロードされ /usr/ports/distfiles/ に置かれます。ダウンロードが正しく行えていれば、make は正常に終了するはずです。
  2. 続いて make install を実行します。
    # make install
    この操作が正常に終了すれば、POSE のインストールは終了です。
ROM イメージの取得

POSE を利用するには PalmOS の ROM イメージが必要です。ROM イメージは、実機から転送するか、http://www.palmos.com/ から入手できます。http://www.palmos.com/ から入手するには「Palm OS デベロッパプログラム」に登録する必要があります。

ここでは POSE を使って実機から ROM イメージを取得する方法を説明します。以下の説明では、クレードルは COM1 に相当するシリアルポートに接続されているものとします。他のポートに接続されている場合には説明に出てくるデバイス名 /dev/cuaa0 を適切なデバイス名に変更してください。

  1. 実機をシリアルポートに接続されているクレードルに載せます。
  2. 実機に ROM Transfer をインストールします。最初に、以下のコマンドを実行します。
    % pilot-xfer /dev/cuaa0 -i /usr/local/share/pose/ROM_Transfer.prc
    以下のように表示されたら、クレイドルの HotSync ボタンを押します。
    Port: /dev/cuaa0

    Please press the HotSync button now...
    正常終了すれば、ROM Transfer のインストールは終了です。
  3. POSE を起動します。
    % /usr/local/bin/pose
  4. 起動直後

  5. マウスで右クリックをしてメニューを表示し、"File" から "Transfer ROM..." を選択します。

    Transfer ROM...

  6. 表示されたダイアログの左下に、クレードルが接続されているシリアルポートのデバイス名を設定します。

    シリアルポートの選択

  7. Palm にインストールした ROM Transfer を起動します。ROM Transfer の "Transfer Speed" の値と、POSE のダイアログの "Baud" の値を同じに設定します。ROM Transfer の "Begin Transfer" ボタンをタップし、続けて POSE のダイアログの "Continue" ボタンをクリックすると、転送が始まります。

    転送中...

  8. ファイル名を設定して保存します。ファイル名は何でもかまいませんが、OS のバージョンとどの使用している Palm のハードウェアがわかるようにしておくと良いでしょう。ここでは "palmos40-m505.rom" という名前にしました。

    ROM イメージの保存

取得できた ROM を使って PalmOS を起動してみましょう。

  1. マウスで右クリックをしてメニューを表示し、"File" から "New" を選択します。

    新規...

  2. "New Session" というタイトルのダイアログが表示されますので、最初に "ROM File" の右のボタンをクリックします。メニューが表示されるので "Other..." を選択し、表示されたダイアログを使って、先ほど ROM イメージを保存したファイルを選択します。

    ROM ファイルの選択

  3. "Device" は選択された ROM イメージの内容によって自動的に設定されます。"Skin" は "Generic" のままでもかまいませんが、エミュレートしたいデバイスに合わせて設定することもできます。"RAM Size" はデバイスに合わせて、適宜、設定します。

    RAM サイズの選択

  4. 最後に "OK" をクリックすると PalmOS が起動します。

    PalmOS の起動

gdb のインストール準備

ports を使って prc-tools の gdb をインストールするには autoconf、m4、bison と呼ばれるツールが必要です。まずそれらをインストールします。

  1. 開発環境のインストールの時と同様に ftp サーバまたは CD-ROM (3枚目) から必要なファイルを入手します。
    • m4-1.4_1.tgz
    • autoconf-2.52_2.tgz
    • bison-1.30.tgz
  2. root になります。
  3. pkg_add を用いて、これらのパッケージをインストールします。
    # pkg_add m4-1.4_1.tgz
    # pkg_add autoconf-2.52_2.tgz
    # pkg_add bison-1.30.tgz
gdb のインストール
  1. /usr/ports/palm/prc-tools-gcc に移動します。
  2. patch-ab を入手し、ディレクトリ files の中に格納します。
  3. 以下の手順で gdb をインストールします。
    # make configure
    # cd work/build/gdb
    # gmake
    # gmake install
  4. 以上の操作が正常に終了すれば gdb が /usr/local/pilot/bin/m68k-palmos-gdb としてインストールされます。

 



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