CodeWarrior モニター 〜murasaki


 

CW を使ってみて

はじめまして、murasakiと申します。一応、システムエンジニアの端くれで、パソコン自体にはMS-DOSの前に流行ったCP/Mあたりから使っています。パソコン上で動くソフトよりも、どちらかというと組み込みマイコンや独自のアーキテクチャを持った制御機器の開発を主にやってきました。全国を繋いで稼動するネットワークなどもやりましたが、個人的にはPalmのような単体の機器のほうが好きです。

Palmのプログラミングは値段が比較的安いこともあってNS-Basicを最初に使っていたのですが、今一つ自由度が足りないのと、買って数ヶ月も過ぎないうちにバージョンアップが5千円ということでめげました。
それから、EzAsmというアセンブラも試してみたのですが、対応した資料がほとんど無い状態でしたので、ちょっと辛いなあと思っていたところ、CodeWarrior for Palm(以下、CWと略)のモニター募集を見つけ、幸運にもに選んでいただきまして感謝しております。

では、ここ数ヶ月の間、Windows上でちょこちょことCWを使ってみた感触をレポートしてみたいと思います。

さて、異論もあるかと思いますが、Palmでプログラミングを始めるには以下の段階があるかと思います。
・開発環境を用意する。
・セットアップを行う。
・ツールの使い方を覚える。
・サンプルを試してみる。
・システムコール等の資料を用意する。

最近、フリーの開発環境のprc-toolsも試してみているんで、比較してどんな感触だったかを書かせていただきます。

1.開発環境を用意する
 まずはお金。この不況の時代にこれは大きいです。
 CWは希望小売価格が49,800円、一時期やっていたキャンペーンでも 28,000円で
 した。個人で気軽に買える値段ではありませんし、バージョンアップでやはり
 万単位の金額がかかってしまうのは辛いように思います。
 一方、prc-toolsはダウンロードの電話代等を除いて基本的に無料です。

2.セットアップを行う。
 CWはよくある普通のアプリケーション同様、セットアップのプログラムの指示通
 りにクリックするだけで簡単です。ただし、途中に英語の使用許諾があるのはい
 ただけません。英語が分からないから日本語版を使うのですから。

 一方、prc-toolsは何段階も手順を踏む必要があります。Linux等のPC-UNIX版だと
 場合によってはOSのインストールから始めないといけないでしょうし、Windows
 でも以下の手順になり、けっこう手間取ります。
 ・Windows上でUNIXのエミュレートを行うcygwinの導入
 ・コンパイラ等のprc-toolsの導入
 ・リソースコンパイラのplircの導入
 ・SDKの導入
 ・手動でちょっとした設定
 導入方法を紹介したサイトも事例が古いものが多く、最新版の2.2を試すのに1日
 ほど悩みました。やることは手順が多いだけで、難しくはありませんが。
 ※ご参考:2.2のセットアップ方法は個人サイトのほうにまとめてみました。
  http://homepage1.nifty.com/Mercury/

3.ツールの使い方を覚える
 CWには付録に『チュートリアル』という冊子あるので、これを見れば初歩的な操作
 方法は分かります。英語の翻訳調の日本語で、ちょっと読みづらいのですが。
 ただ、VisualBasic等の製品に比べ、市販の解説書が圧倒的に少ない状況の中、
 付属のマニュアルが分かりづらく、その点の改善なくしては普及は難しい印象を
 持ちました。

 prc-toolsはUNIX系のコマンドやコンパイラ等の使い方を覚える必要があります。
 個人的にはUNIXで開発した経験もあるので、その部分は大丈夫でしたが、初めての
 人には辛いかもしれません。

4.サンプルを試してみる
 CWやSDK、書籍にはCW用のサンプルが何点かありますから、それをそのまま試すだけ
 ですが、prc-toolsにはSDKでは2点だけです。
 経験の無い開発ではサンプルが重要な手がかりになるのですが、それが少ないという
 のも辛いところではあります。

5.資料を用意する
 CWにある日本語の資料はCWのツールの説明が日本語というだけでPalm社から提供され
 ているプログラミングの資料は英語のままです。その点ではCWもprc-toolsでも差異
 はなく、英語の資料を翻訳ソフトで少しずつ読み砕きながら理解するのと、日本語の
 専門書を何冊か揃えないと先に進めないと思います。ちなみに私が用意したのは
 『PalmOSバイブル』日経BP社 税抜7800円、『Palmプログラミング 
  Palm/WorkPadアプリケーション開発ガイド』オライリー・ジャパン 税抜4800円、
 『CodeWarriorではじめるPalm/Visor/CLIEプログラミング』オーム社 税抜3200円、
 『PalmOSプログラミング』カットシステム 税抜5000円です。

 昔、MS-DOSで動く、QuickCという初心者向け?のC言語製品がマイクロソフトから
 出ていて、それにはプログラミングの初歩みたいな説明書がついていました。
 値段がそれなりにする、CW自体に詳しい日本語の説明を期待したのですが、この
 点については期待外れでした。

全体的な印象としては、まだまだ発展途上の感は否めなく、初心者の方にはお勧めできません。prc-toolsに挫折して、CWならGUIで簡単そうと思って期待すると裏切られるでしょう。但し、インストールが簡単、サンプルが多い、市販の本もCWを前提に書かれているものが多い等にメリットがあると思いますので、その点を重視される方には良いかと思います。

リソースを配置するコンストラクタも試してみましたが、何十画面もあるアプリを作るわけでもないので、方眼紙にラフを描いて、plirc用にテキストエディタで打ち込んでいく作業と比較して、何万円も出すほど楽になるものでもありませんでした。

とりあえず、デバッガを使わないような数百行程度のプログラムではCWを買うメリットは薄いように感じました。仕事ですと関数の単体テストでパラメータを変えてテストするために、デバッガが大活躍するんですが、趣味のプログラミングではそこまでしませんし、prc-toolsで十分なような気がします。

しばらくは、CWとprc-toolsを平行して使っていき、違いをみてみようと思っています。ということで、今回はこのくらいで。



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